幻の惑星ヴァルカン

2022/06/29

読書

 『幻の惑星ヴァルカン アインシュタインはいかにして惑星を破壊したのか』

トマス・レヴェンソン (著), 小林由香利 (翻訳)


ニュートンが万有引力と運動力学の物理学を打ち立て、それに基づいて計算された天王星の軌道と観測値の間に微小だが無視できない誤差があり、この誤差を説明するために「この軌道にこの惑星があるはずだ」と逆算した理論値から実際に海王星が見つかった。


同様に、水星の軌道にも微小だが無視できない誤差があり、この誤差を説明するために水星よりも内側に軌道を取る惑星が逆算され、そう見えるものが何度も観測されたことからこれに「ヴァルカン」と名がつけられた。


しかし結果的にそれらの観測は何らかしのエラーであり、そのような惑星は存在しないことがアインシュタインによって一般相対性理論をもとに示された。


エーテルと同じような、実在しなかった物体。

ヴァルカンを取り巻く状況がいきいきと描かれていて、面白かったです。


なんかこう言うの、創作とか暗号のモチーフに使ってみたいなあとも考えたり。



この本は非常に読みやすかったのですが、あとがきで訳者さんが「ヴァルカンさながらに捕獲し難い原文を読み解く上で惜しみない助力をくださったMike Loughranさんと校正の谷内麻恵さん」と書いていて、原文どんなんだったんだろうと・・ちょっと気になりました。