Palepoli

2022/06/09

読書

 『Palepoli』

古屋 兎丸


大学の頃、サン・ジョルディの日に本を贈りあった際に友人から贈られた思い出の本。

・・サン・ジョルディの日ってもっとロマンチックなイベントだと思っていたよ。


全体的に下品で、正直なかなか人には勧めにくいです。ネタも絵柄もかなり人を選ぶと思います。けれどたしかに面白い。


「のこぎりくわがたっ」「じざすっ」「いけ やっちゃえやっちゃえ」「なんだこいつ よえーな どこでつかまえたの?」「ごるごだっ」とか、明らかにヤバいやりとりなんだけれど、見るたびに笑ってしまう。


私は基本的には宗教的なものが軽く下品に扱われる表現には強い嫌悪感を覚えるのですが、これには若干の嫌悪感を感じると同時に、それも含めて面白いと思ってしまいます。多分キリストが非常に「絵画」的な表現で描かれていると共に、これを弄ぶたかし君が超越的な存在として描かれているために、キリスト教美術作品を宗教的な尊敬なく消費する社会への非難のようなものが感じられるからかなと考えています。つまり、私は「冒涜的なのはこの作品ではなく現実社会そのものだ」と捉えているということです。そういう批判をたかし君が無垢に示しつつ、またクワガタに負けるキリストとかいうギャップが認識を壊してきて面白い。


そんな風に、全編通じて作画技術もネタも深かったり雑だったりが入り乱れて忙しいです。実際に知り合った美大生や美術部員に、こういう深さや鋭さと、馬鹿さや下品さをごちゃまぜにして話をしたり作品を作る人が何人かいたのですが、そのへんの文化に通じるものを感じています。